はじめまして。高知市を中心に『何でも相談のできる保険代理店』として頼られている、青地和典(あおち かずのり)です。
私がこの仕事をしていて、一番の嬉しさを感じるのは、喜び合えることです。
そのためには、街のお医者さんのように、自宅まで往診してくれて、必要があれば「専門医」に紹介状を書いてくれる「かかりつけ医」のような存在であることが大切だと思っています。
そして、お客様や取引先、スタッフ、家族などと物事を進めていくとき、困難な状況に遭遇するときがあります。そこから逃げることなく、一緒に困難を乗り越えたとき、心から喜び合えるものだと私は思っています。
そのような私が、なぜ『寄り添う』という言葉を大事にしているのか?そのわけを聞いていただけますか?
生まれは兵庫県伊丹市でした
父の仕事の関係で、小学校1年生のとき高知にきました。高校卒業後は、車が大好きなこともあり、高知市のガソリンスタンドに入社。車という同じ趣味を持つ同僚や先輩が多かったので、話も合って楽しい毎日をおくっていました。
私生活でも愛車を2台持ちマフラーを替えたりタイヤを太いものに交換したり改造をしていました。
それから5年たったある日、いつも通り職場で燃料を入れに来る車の誘導をしていると、青い軽自動車が入ってきました。運転をしている人を見ると、「めちゃキレイな女性。うわぁー!俺好み!!」
その女性は週に1度くらいの頻度できます。2回、3回と会う度、どんどん惹かれていき、私はいてもたってもいられなくなりました。
そこで思い切ってデートに誘おうと考えたのです。次、給油に来たとき誘ってみよう!考えただけで心臓が喉から出てくるほどバクバクします。
そして、いよいよその時が来ました。給油を済ませ後、勇気を振り絞り言いました。
「あのぉ?、今度の日曜やけど…、ご飯食べに行かん?」
その女性からの返答は・・・
「ごめんなさい…その日は…。」と断られてしまいました。
でももしかしたら、たまたま日程が合わなかったのかもしれない。もう一度だけ誘ってみよう。そう思い、また次、給油に来たとき誘ってみることにしました。
「この間はありがとう。今度やけど、、、1月10日、よかったらご飯食べ行かん?」
すると、なんと!「ええよ」と言ってもらえたのです!!やったー!!!天にも昇る悦び、この世の中すべてがバラ色に見えました。
初めてのデートは、足摺岬の海遊館に行きました。
その後週に1回、2回のペースで彼女とデートを繰り返しました。その度、彼女の本音で話をしてくれるところに、ますます惹かれ、私は「もうこの女性しかいない!」と思い、結婚したい気持ちでいっぱいになりました。
今度のデートで、その思いを打ち明けようと思いました。いよいよその日、レストランで食事をしているとき、たまたま車の話になりました。
「今度もう一台の車の車高を下げよう思うんよ。そうするとバランス的にマフラーを替えないかんがよ~」
彼女は少し浮かない顔をしています。私が「それでこの間なんやけど、あの大通りにあるパチンコ屋で2箱も出たがやき!」と言ったとき・・・
彼女の様子が一瞬変わりました。
「カズさんね、現実から逃げちゅーがやない?」え?一瞬なんのこと??と思いました。
「車2台あって借金はたくさんあるし、そんな時にパチンコなんて、普通やないで!」
「そんなことないで、もうお金は使いやせんで」と言ったものの、ハッとしました。
車を買ったり改造するたびお金を借りていました。借金はどんどん膨れ上がって400万円に…。それをパチンコで返そうとしていたのですが、いつも負けていました。そのことを指摘されてしまったのです。
「現実から逃げちゅーがやない?」
この彼女の言葉が、私の頭の中でこだましました。
お金のことをかえりみず車の改造ばかりしているのは、現実から逃げていること?借金をパチンコで返そうとするのも現実から逃げていること??
ずっと考えていると、昔のことを思い出しました。
中学時代、行きたかった高校は私立。でも受験勉強に向かっていくことから逃げる口実として「家にはお金がないから」と言ってランクを下げた高校に行きました。
大学進学を諦めたのも、「父の事業が厳しくお金が大変だから・・・」と受験から逃げ、就職を選びました。
そして今回も、「借金はパチンコで勝って返す」と現実に向き合うことから
逃げてました。困難なことがあると向き合うことをしないで、今までずっと
逃げていたことに気づいたのです。
彼女のいうとおり、俺は現実から逃げていたんだ…。なんて情けない…。
自分で自分のことが嫌になりました。
でも、こんな自分のままじゃ、絶対に結婚はOK と言ってもらえないし、情けない人間のままになってしまう…。いやだ!彼女と絶対に結婚したい!
私は決めました。2台あったうちの1台の車を売って、パチンコは一切やめて、借金を一日でも早く返すために一生懸命働いて収入を上げよう!これからは困難なことから逃げないで、向き合って行こう!
そして、
自分を変えていく決心を彼女に宣言しました。
「これから、車売って、パチンコやめて、仕事を一生懸命頑張るき。そして3年以内には、しっかりメドをつけるき、その時、結婚してくれるかえ?」
彼女は「ええよ。そこまで決めたんなら、私も協力するで」と言ってくれました。
ほんまに!!嬉しい!!!よし、俺は絶対に頑張る! これから生まれ変わった気持ちでやっていくぞ!!自分の中にスイッチが入りました。
今まで言われたことだけしかやらなかったのが、「洗車をするとき底の部分も洗ったらどうですか?」「事務所の中をもっと整理整頓しませんか?」など、同僚や上司に提案をしました。
あまりに極端な行動だったので、同僚や先輩からは、「お前どうしたの?」言われました。
絶対に3年以内にメドをつけるぞ!
その一心で頑張りました。彼女も協力すると言ってくれたので何としてでも成し遂げたい気持ちになったのです。
2年後の22歳でマネージャー職に抜擢され、その2年後に今度は所長になり、スタンドを任され前年対比売り上げ120%を達成しました。
この実績が認められて、新規オープンの大型スタンドの所長に抜擢。当時の四国トップの売り上げ記録を塗り替えました。そのことが有名になり、業界誌の取材を受け、掲載されるまでになりました。
そして、彼女が「すごいね!」と言ってくれました。会社の業績を伸ばせたことも嬉しかったですが、この一言がたまらなく嬉しかったです。
ここまでできたのは、彼女がいつも寄り添ってくれていたからです。
その後、無事、彼女と結婚することができ、子どもも授かりました。
しかし、その頃から価格競争が始まり、ガソリンを売っても売っても利益になりません。
給料は激減し、今後の生活に不安を抱くようになりました。
ちょうどその頃、彼女の友人が生命保険の担当ライフプランナーを紹介してくれました。
難しい保険の話を分かりやすく説明してくれ、初めて保険の必要性を感じたのです。
そして何よりも、お客さんに寄り添った仕事ができるのでは?と思いました。
自分も担当ライフプランナーのようになりたい!
そして、12年勤めていたガソリンスタンドを辞めて保険業に転職しました。
実際に保険の仕事を始めてみると、思った以上に知識の勉強が大変でしたが、それを分かりやすく伝えることが楽しく、やり甲斐を感じました。
それから12年経ったとき、建設業を営む大藪社長と出会いました。保険の手続きを終え、雑談をしていたときの話です。
「そろそろ息子に後継いでもらわんといかん思いゆうがやけんど」
息子さんに後継ぎの話をしていたのですが全然、前に進んでいないと言うのです。このことが気になりました。
保険業を始めて、たくさんの社長さんとお会いする中で、事業承継を先延ばしにしたことで大変な思いをしているケースを何人も見てきました。
「社長さんに早めに事業承継することを伝えなければ・・・」
そう思ったのですが、保険の話とは直接関係のない事業承継を社長にすると「何で保険代理店のおまえが言うがな?」と言われるかもしれないと躊躇しました。
かえって変に受け止められて、保険の話が飛んでしまったら元も子もありません。
結局この日は事業承継の話はせずに帰りました。しかし夜、床に就いて寝ようとしても気持ちがモヤモヤして落ち着かず、いつまでたっても眠れません。
もしかしたら自分は、困難に向き合うことをせず、また逃げることをしているのではないか・・・。と頭をよぎったのです。
自分のことを考えるのではなく、社長のことを考えたら、これは言うべきだ。
伴走者として、大藪社長に伝えよう!もっと寄り添って行こう!!
2週間後、社長に事業承継の必要性を伝えました。
大藪社長は「そんなんやったら、お前がやってくれ!」と嬉しそうに言ってくれたのです。
早速、事業承継を専門にやっている税理士さんを紹介し、具体的に進めていく話になりました。そして、半年がかりで事業承継の話がまとまったあと、大藪社長がこう言ってくれました。
「あの時、青地が言ってくれたおかげや。事業を継がせなって分かっちょっても後回しになっちょったきにゃあ。おかげで、いつ社長を辞めてもいいようになったにゃあ(笑)」
事業承継の話を切り出せず悩んでいたので大藪社長の言葉は、涙が出るほど嬉しくなりました。
困難に遭遇したときや迷ったときこそ、共に考え、寄り添っていくことの大切さを確信しました。
寄り添っていくことで、喜び合える嬉しさを感じられる。
ここに『寄り添う』という言葉を大切にしようと思うようになった理由があります。
この先もきっと困難な場面に遭遇すると思います。そんなときこそ、お客様に寄り添い、伴走者であり続けられるようしていきたいと思います。
『寄り添う』ことの大切さを教えてくれた、嫁さん感謝しています。
本当にありがとう。